㈱ほぼ日が新規上場!上場後の課題は「ブランド力の維持」・「事業の多様化」・「人事育成」
こんにちは!
2017年3月16日、人気サイト「ほぼ日刊イトイ新聞」の企画運営とほぼ日関連商品の開発・販売を行っているる会社、㈱ほぼ日が東証JASDAQに新規上場しました。
現在も事業は好調ですが、上場後はほぼ日の「ブランド力の維持」と「事業の多様化」、それを支える「人材育成」が益々重要になってくると考えています。
■目次
1.株式公開後の騰落率128%、現在は98%と高水準
2.ほぼ日の株の人気理由は好調な経営状況と主力商品の高い人気
3.上場後の課題は、経営層の多様化後のブランド力維持と事業の多様化
■1.上場の概要
ほぼ日の公募価格2,350円に対して、3月17日の初値は5,360円(騰落率128%)でした。一か月後の現在は少しトーンダウンしていますが、4月20日時点の終値は4,540円と公開価格の1.9倍(騰落率93%)で、依然と人気株式であることが分かります。
■2.ほぼ日の株が人気な理由
ほぼ日の株式の人気は、人気商品の好調な売り上げと健全な経営状況に裏付けられています。
ー人気商品「ほぼ日手帳」の好調な売り上げー
ほぼ日は「ほぼ日刊イトイ新聞」のサイトで最も知られていますが、収入源はサイトを通じたオリジナル商品の開発と販売なので、業界としては「小売り業」に該当します。
ほぼ日の3つの事業:
①無料ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」の企画運営
②オリジナル文具、アパレル、その他生活雑貨の開発と販売
③スマートフォン向けペット写真のSNSアプリ「ドコノコ」の企画運営
ほぼ日のビジネスモデルの最大の特長は、ECとWEBサービスのビジネスモデルを融合したものと言えます。
①のウェブサイトは収益源にしておらず、②のオリジナル商品販売の集客機能として用いているのが特徴です。ウェブサイト読者の要望を聞きながらオリジナル商品を企画制作しています。
中でも主力商品は、年間61万部売れる人気商品「ほぼ日手帳」。当商品が売り上げの7割を占めています。商品販路もウェブサイトを経由した「直販」が62%とウェブサイトが集客機能を支えていることも、下記の図を見るとわかります。この他の収益確保の構造は、他のECやWEBサービス会社は異なり、ほぼ日がビジネスモデルの最大の特徴といえます。
ー現前な経営状況ー
独自のビジネスモデルを持つほぼ日ですが、経営状況も非常に健全です。
売上高37億6千万円、純利益4億9千万円で売上高営業利益率は13%です。経産省に
よると日本の小売業の売上高営業利益率の全国平均は2.1%(中小企業3.5%、大企業
1%)であることから、ほぼ日は小売り業の中では非常に好調だと言えます。
■3.上場後の課題は、経営層の多様化後のブランド力維持と事業の多様化
目論見書を見る限り健全な体制で上場した㈱ほぼ日ですが、上場によって得た資金力を使って「事業の拡大と多様化」、「人材育成」を進めると同時に、株主構成が多様化した後もほぼ日の「ブランド力を維持・発展」させることが課題だと思います。
売上の7割をほぼ日手帳の販売に依存していますが、今後携帯電話やインターネットで予定管理を行う人が増えることも考え、会社として事業を多様化していくことは重要な課題であろう。
また、「ほぼ日刊イトイ新聞」サイトの人気には創業者の糸井社長(68)の独自の視点や表現力等が大きく寄与しているとされており、糸井社長の引退後も愛読者や商品ファンを維持するため、社員育成も課題とされています。
最後に、今回の上場によって変わった株主構成が経営やブランド力に与える影響も考慮しなくてはいけません。これまでは社長や役員、従業員等の会社関係者が株式の98%を保有していましたが、上場後は81%となります。新株主の新しい視点を取り入れながら、ほぼ日独自のコンテンツの魅力やブランド力を維持・発展させていくことが上場後の課題と言えるでしょう。
以上、株式会社ほぼ日の企業分析でした!
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